実は、役割給のほかにもうひとつ、見過ごせない争点があった。残業時間の上限を労使で決める「三六(さぶろく)協定」だ。この会社では繁忙期などの特別な事情があるときに限ってではあるが、月100時間に設定しており、1審判決が「労働者への配慮がまったく認められない」と指摘する根拠となった。
すると会社側は、2審になって同業他社13社の三六協定を証拠として提出。中には特別な事情があるときの上限を月135時間に決めている企業もあり、これを基に「外食産業で、残業を上限100時間とすることは一般的だ」と主張した。
企業は利益を出すために人件費を抑える。従業員は安い給料を残業代で補おうとする。価格破壊の裏側にあるこの構図が、長時間労働を常態化させている。
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